投資を始める前に、いくら現金を残す?会社員のための資金整理
このクエストの攻略手順(目次)
「貯金が増えてきたから投資を始めたい。でも、いくらまで使っていいのか分からない」。そんなときは、預金残高の何割を投資するかより、お金を使う時期と役割から考えると整理できます。
このページでは、会社員が最初の積立額を決めるための手順を、架空の家計を使って説明します。金額は考え方を示す例です。家族構成や収入の安定性によって、必要な現金は変わります。
日々の支払い、予定のある大きな出費、収入が減ったときの備えを確保し、その後に残るお金から投資額を決めます。NISAの上限に合わせて家計を組む必要はありません。
1. 預金を3つの役割に分ける
| お金の役割 | 具体例 | 考えること |
|---|---|---|
| 日々使うお金 | 家賃、食費、カードの引落し | 給料日と支払日のずれに耐えられるか |
| 予定と緊急時に備えるお金 | 引越し、家電の買替え、休職時の生活費 | 必要な時期と金額を見積もれるか |
| 当面使う予定のないお金 | 長い時間をかけて準備する将来資金 | 値下がりしても売らずに待てるか |
この分類は、銀行口座を必ず3つ作るという意味ではありません。メモや家計簿で、同じ預金残高の中にある役割を分ければ十分です。金融庁も資産形成の基本として、収支の把握とライフプランに応じた貯蓄・投資の使い分けを示しています。出典:金融庁「資産形成の基本」
2. 「何か月分残すか」を、自分の事情から決める
緊急時の備えは、毎月の最低限の生活費と、収入が途絶えたときに必要になりそうな期間から考えます。共働きでも、二人の収入が同時に減る可能性や、片方が働けない場合の支出増加は家庭ごとに異なります。
例えば、最低限の生活費が月25万円で、仮に6か月分を備えると決めたら150万円です。これは全員に6か月を勧める基準ではありません。雇用形態、休職時の制度、扶養家族、頼れる支援を踏まえて、必要な月数を調整してください。
さらに、1年後に必要な引越し費用50万円があるなら、緊急時の150万円とは別に扱います。使う予定が決まっているお金を「もしもの備え」にも数えると、実際に出費した後に備えが足りなくなるからです。
3. まとまった投資資金と、毎月の積立余力を分ける
預金300万円 − 日々の支払い用30万円 − 緊急時の備え150万円 − 予定支出50万円 = 70万円
70万円は投資の検討対象にできる金額です。すぐに全額を購入する、という結論ではありません。
次に毎月の収支を確認します。手取り収入から通常の支出を引いた黒字が5万円でも、年払いの保険や帰省費が年24万円あるなら、月換算2万円を引いて考えます。そのうえで貯蓄にも1万円を回すなら、計算上の積立余力は月2万円です。
この例で、いきなり月2万円を設定する必要はありません。まず月1万円で始め、数か月の支払いと預金残高を見てから増やす、という決め方もあります。ボーナスが出ることを前提に、毎月の赤字を埋める組み方は避けたいところです。
4. 下がったときの「金額」で考える
投資額を決めるときは、「30%下落」といった割合を円に置き換えてみます。70万円を投資して30%下がると、評価額は49万円、含み損は21万円です。この数字を見て、近い将来の支払いが難しくならないか、慌てて売りたくならないかを考えます。
30%は想定練習のための数字で、最大損失を示すものではありません。投資対象によっては、それ以上の損失も起こりえます。投資を始めるために、必ず株式へ大きな金額を振り向ける必要はありません。
5. 今日することは、積立額を1つ決めること
- 直近数か月の収入と支出を見て、年払いの費用も月割りする。
- 使う予定のある資金と緊急時の備えを、預金から取り分ける。
- 毎月無理なく継続できる金額を決める。
- 商品を買う前に、値下がり時の家計への影響を確認する。
現金にも、必要な日に使えるという役割があります。インフレで実質的な価値が減る可能性があっても、それだけを理由に生活資金まで投資へ移す必要はありません。投資に回す金額が整理できたら、次は税制上の仕組みであるNISAを確認しましょう。
よくある疑問
まとまった貯金がないと、投資は始められない?
少額から利用できる積立サービスもあります。ただし、始められることと、家計に適していることは別です。赤字や近い支払いへの不安があるときは、まず収支を整える方が優先です。
借金がある場合も同じ順番でよい?
返済条件の確認が加わります。確実に負担する借入金利と、確実ではない投資収益を比べる必要があります。借入れの内容によって判断が変わるため、この記事の計算例をそのまま当てはめないでください。
ひとつ「わかった」が増えたら、クリア!
生活費・近い将来の支出・もしもの備えを、投資資金と分けて考えられた。
投資には損失の可能性があります。最新の条件・費用は公式情報をご確認ください。編集方針